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病棟看護師として6年間勤めながら、「もっと一人ひとりに向き合いたい」という気持ちをずっと持ち続けていた川上眞依さん。2024年度にあまてらすへ入社し、現在は訪問看護師として現場に立ちながら、スタッフのスケジュール調整も担う管理業務も兼務しています。シングルマザーとして子育てをしながら、副業として野球チームのマネージャーや球場アナウンスまでこなす川上さんが、訪問看護の道を選んだ理由、あまてらすで実現した柔軟な働き方、そして仕事もプライベートも諦めない「時間の使い方」についてお届けします。
「1日5分では、看護じゃない」——病棟で感じ続けた限界
前の病院では、慢性期の療養型の病棟で働いていました。看護師1人で20人の患者様を担当していたんですが、バイタルサインを測るだけで精一杯で、1人の方に関われる時間が1日で5分あるかないか、という状況だったんです。
その方が何を感じているのか、何を不安に思っているのか、聞く時間も余裕も作れない。「この方は今、ここで何のために生きているんだろう」という気持ちになることもあって、このままでいいのかなという疑問がずっとあったんですよね。看護師になった理由は、人と向き合ってその方の生活を支えたいということだったはずなんです。でも病棟では、それがなかなかできなかった。その積み重ねが、転職を考えるようになったきっかけでした。
6年間のキャリアの中で技術は磨かれましたし、学んだことはたくさんあります。でも「自分が本当にやりたい看護」との距離は、縮まるどころか広がっていくように感じていました。そのモヤモヤを抱えたまま続けることへの限界が、転身の一番の理由だったと思います。「患者様のために」という気持ちは変わっていないのに、その気持ちをちゃんと仕事に使えていない感覚がずっとあったんです。
ナースコールのない1時間——「これが、やりたかった看護だ」
元々在宅医療には興味があったんですが、「まず病院でしっかり経験を積んでから」と思っていました。転身のタイミングを早めたのは、第二子の出産です。夜勤がどうしても厳しくなって、「今だ」と決断しました。病院での経験があったからこそ、訪問先で判断を求められる場面でも慌てずに動けていますし、結果的にはちょうどいいタイミングだったと思っています。
訪問看護の現場に出てみて、最初に感じたのが「ナースコールが鳴らない」ということでした。病棟では常にナースコールに追われて、自分がやるべきことを中断しなければならない場面が絶えずある。でも訪問では、その1時間は丸ごとその利用者様のための時間なんです。急かされることなく、その方の話をしっかり聞いて、状態を見て、考えて動ける。それが病棟とこんなに違うものかと、最初の頃に強く感じました。
「あ、これがやりたかった看護だ」と思いましたね。利用者様の表情や言葉、生活の様子を丁寧に受け取れる時間がある。病棟のころに感じていた虚しさが、今はありません。その方が自宅でどんな暮らしをしているか、何を大切にしているかが見えてくると、ケアのアプローチも自然と変わってきます。「この人にとって必要なこと」を考えながら動ける仕事になったというのは、看護師としての自分にとって大きな変化でした。

ママ友の一言が、転職のきっかけになった
あまてらすを選んだのは、知人の紹介がきっかけです。子供のスイミングスクールで知り合った友人が、あまてらすのスタッフとして働いていました。「夜勤ができなくなって困っている」という話をしたら、「うちに来ない?」と声をかけてもらって。
知っている人が働いている職場というのは、やっぱり安心感がありました。雰囲気や働き方を事前に聞けますし、入ってみたら聞いていた通りの職場でした。スタッフ同士の仲が良くて、新しいスタッフが入ると歓迎会を開いたりするんですよ。訪問業務なので直行直帰も選べるはずなんですが、事務所に一度顔を出してから訪問に向かうスタッフが多くて、自然にコミュニケーションが生まれる職場です。一人で動くことが多い仕事だからこそ、この雰囲気はありがたいなと感じています。
わからないことがあってもすぐ聞ける環境がありますし、訪問先で何か難しい状況があったとき、同僚に相談できる気軽さがある。「一人で抱え込まなくていい」という感覚は、訪問看護という仕事を続けていくうえで、思った以上に大切だと実感しています。病棟と違って一人で動く時間が長い分、チームのつながりをより意識するようになりましたし、それがあるからこそ自信を持って現場に出られるとも感じています。
シングルマザーでも、フルで動ける。あまてらすの柔軟な働き方
現在、シングルで子育てをしながら働いています。下の子が訪問リハビリを受けていて、毎週木曜日の夕方に付き添いが必要なんですが、その日は早上がりか午後休みを取って、その分土曜日に出勤するという形で調整しています。子供の事情を職場が受け入れてくれているのは、本当にありがたいですね。「子供のことで休みます」と言いやすい雰囲気がある職場というのは、探してみると意外と少ないので、ここは入社前から変わらず助かっています。
定時は5時半に帰れますし、子供の急な体調不良などにも動きやすい環境です。病棟のときはリーダー業務が多く残業続きで、「子供に何かあっても動けない」という焦りがいつもありました。今はそれがない分、仕事に集中できています。スケジュール調整などの管理業務も担っているので、家に持ち帰る仕事がゼロではないんですが、自分でコントロールできている感覚があるのが大きい違いです。
訪問件数は少ない日で3件、多い日で6〜7件ほどです。件数が少ない日には管理業務や事務作業に時間を使えるので、ただ「暇な日」になるわけじゃない。自分でやることを組み立てられる裁量があるのも、この仕事の面白さだと思っています。

副業は球場アナウンス。「趣味と呼んでいいのか、迷うんですよね」
趣味は野球観戦とハンドメイドなんですが、野球観戦はプロ野球じゃなくて高校野球や草野球が好きで。勝ち負けよりも、プレーする人たちの情熱とかチームの雰囲気とかを見るのが好きなんです。それが高じて、野球チームのマネージャーや球場アナウンスを副業としてやっています。お金をもらっているので「趣味」と呼んでいいのかちょっと迷うんですが(笑)。
ハンドメイドも、仕事が終わった後に黙々と作業していると頭の中がリセットされる感じがして、気分転換になっています。細かい作業が好きなので、看護の仕事とは別の集中の仕方ができるのが気に入っているんです。あまてらすは副業に対しても柔軟なので、こういう働き方ができているというのも、自分にとっては大切なことです。
球場アナウンスをやっていると、「こんなこともできるんですね」と職場のスタッフに驚かれることがあります(笑)。看護師の仕事とはまったく違う世界ですが、そのギャップがかえって自分の気持ちを切り替えてくれるんですよね。仕事の外に自分の居場所があることが、仕事を長く続けるための支えになっているとも感じています。
「時間の使い方」が変わった——仕事も育児も諦めない
入社して一番変わったと感じているのは、時間の使い方への意識です。訪問業務は移動時間があるぶん、隙間時間をどう使うかが仕事の質を左右するんですよね。訪問の合間に記録や事務作業を済ませられれば、家に持ち帰る仕事が減る。そういう積み重ねが、仕事とプライベートのバランスに直結してくるんです。
プライベートでも、タイムスケジュールを細かく組むようになりました。子供の送り迎え、仕事、ハンドメイド、野球——全部を回すためには、時間を意識して使うしかない。でもそれが苦痛かというと、全然そうじゃなくて。「今日もちゃんと全部できた」という達成感が毎日あって、むしろ充実しているんです。
病棟のころは「仕事とプライベートを両立する」という発想自体、贅沢なことのように感じていました。でも今は、両立できていることが当然の土台になっています。それが実現できているのは、あまてらすという職場の柔軟さと、スタッフみんなが互いの事情を尊重し合える雰囲気があるからだと感じています。
目標は仕事とプライベートの両立ですが、今はそれを「目指している」というより、少しずつ「当たり前になってきた」という感覚があります。あまてらすに入って、「全部諦めなくていいんだ」と思えるようになりました。
今後は、AIなどの技術をうまく活用して記録作業の時間をもっと短縮できたらと思っています。訪問看護は記録の量が多いので、そこにかかる時間を減らせれば、その分を利用者様のケアや自分の時間に使える。質を下げずに効率を上げる方法を、これからも考えていきたいですね。看護師としても、一人の人間としても、もっと充実できる余地がまだまだあると感じています。
子育て中の方や、育児と仕事の両立に悩んでいる方に伝えたいのは、環境次第で全然違うということです。自分が以前そうだったように、「どうせ無理」と思い込んでいる部分があるかもしれない。でも、ちゃんと動ける職場は存在するんだということを、今は自信を持って言えます。
病棟にいたころは、もっと利用者様と向き合いたいという気持ちを持ちながら、それができない日々が続いていました。今は違います。仕事も、子育ても、好きなことも——全部諦めなくていい場所を、ここで見つけられたと思っています。




