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2016年の入社から、ずっとあまてらすで働き続けている田代由記さん。外来での経験を経て訪問看護の世界へ飛び込み、「住み慣れた家で最期まで自分らしく過ごしたい」という方々に寄り添ってきました。時間の使い方、多職種との連携、家庭の変化に合わせた働き方の調整——10年近いキャリアを積む中で見えてきた訪問看護の魅力と、この仕事を長く続けてこられた理由をお聞きしました。
「住み慣れた家で最期まで」——その思いが、訪問看護を選ばせた
訪問看護を選んだのは、ひとつの思いがあったからです。「住み慣れた家で最期まで自分らしく過ごしたい」と願う方やそのご家族の力になれればと、ずっと思っていたんですよね。
外来で働いていた頃から、その気持ちはありました。外来というのは、患者様が受診に来てくださる場所です。でも地域には、病院の外で生活しながら医療を必要としている方がたくさんいる。その方たちのもとに自分から出向いて、生活の場で一緒に考えながら関わる看護をしたいという気持ちが、少しずつ大きくなっていきました。外来にいると、患者様の「病院の外の生活」がどうしても見えにくい。退院した後どんな暮らしをしているのか、自宅でちゃんと過ごせているのか——そこへの関心が、訪問看護という選択肢に向かわせてくれたんだと思います。
あまてらすを選んだ理由は、正直に言うと「たまたま目に入ったから」なんです(笑)。でも入ってみたら、自分のやりたい看護ができる場所でした。利用者様の自宅に出向いて、生活の中で関わっていける。それがこの仕事の一番の魅力だと、入ってみてから改めて実感しました。それが今、10年近く続いている理由だと思っています。
外来での「段取り力」が、訪問の現場でそのまま活きた
訪問看護を始めて最初に実感したのは、限られた時間の中で効率的に動くことの大切さでした。1件あたりの訪問時間は決まっています。その中でバイタルの確認からケア、ご家族への説明まで丁寧にこなすには、やっぱり段取りが大事で。外来でも次の患者様が待っている状況の中でテキパキと動く必要があったので、その感覚がそのまま活きているなと感じました。「外来のキャリアが、ここでも使えるんだ」と思えたことが、最初の頃の安心感につながりました。
それから、多職種連携の重要性を強く実感するようになりました。在宅療養を支えるのは看護師だけじゃなくて、ケアマネジャー、理学療法士、ヘルパー、かかりつけ医——いろんな職種の方が一人の利用者様を中心につながって動いています。外来の頃は院内のやりとりが中心でしたが、訪問に出てからは「誰に相談すればこの方のためになるか」「今この場面で自分が果たすべき役割は何か」を常に考えるようになって。それが看護師としての視野を広げてくれたと思っています。
長くいるほど、地域での顔見知りが増えます。連携もスムーズになるし、「あの方のことは田代さんに聞けばわかる」という関係性も生まれてくる。10年近く同じ地域で続けてきたことで、地域の中に自分の居場所ができてきたような感覚があります。それはきっと、続けてきたからこそのものだと思っています。

「話してくれる」その瞬間が、一番うれしい
やりがいを感じる場面を聞かれると、いつも思い浮かぶのが利用者様が「話してくれる」瞬間なんですよね。
訪問していると、利用者様がこれまでの人生の話を聞かせてくださることがあります。良いことも悪いことも含めて、「昔はこんな仕事をしていてね」「実はこういうことが心配で」——そういう言葉が出てくる時、この方との信頼関係がちゃんとできているんだなと感じて、それがとてもうれしいんです。処置やケアをする場面でももちろんやりがいはあるんですが、この「話してくれる」という瞬間が一番じんとくるというか。
外来だと、どうしても診察・処置・説明という流れになって、患者様がゆっくり話せる時間はなかなか取れませんでした。でも訪問では、その方の生活の場に入るから、日常の声が自然に聞こえてきます。「今日はいつもより顔色がいいですね」「最近眠れていますか?」——そういった会話の中に、医療的なデータだけでは見えてこない情報がたくさんあって。その方の暮らしを本当の意味で支えるには、こういう言葉のやりとりが欠かせないと思っています。
10年近く同じ地域で続けてきたからこそ、語ってもらえる話があります。最初の頃には聞けなかったことが、関係を積み重ねてきた今は聞けるようになっていて。それがベテランとして続けてきたことの、一番の財産かもしれません。
家庭の変化に合わせて、働き方を変えられた10年間
あまてらすで長く続けられている理由のひとつに、「その時の状況に合わせて働き方を変えられた」ことがあります。
10年という時間の中には、いろんな変化がありました。家庭の事情が変わることもあれば、自分自身のライフステージが変わることもある。「今は少し勤務を調整したい」というタイミングがあった時も、あまてらすでは柔軟に相談することができました。「続けたいけれど、今のままでは難しい」という状況を、なんとか一緒に考えてくれる場所でした。
「辞めずに済んだ」ということが、思っていた以上に大きかったと感じています。同じ場所で積み上げてきた経験、地域でのつながり、利用者様との関係——これは続けてきたからこそのものです。もし途中で辞めてしまっていたら、またゼロから積み上げていくことになっていた。ライフステージに合わせながら同じ場所で働き続けられることが、看護師としての深みをつくってきたんだと実感しています。
今の目標はゆっくり旅行に行くことなんですが(笑)、仕事をしながら自分の時間もちゃんと確保できる余裕が、これからも続いていけばいいなと思っています。グルメ巡りもお菓子作りも大好きで、そういうオフの時間が仕事への活力にもなっています。仕事とプライベートのどちらかを我慢しなくていい、そんな働き方がここでは実現できていると感じています。

「向いていないかも」と思っている方にこそ、踏み出してほしい
訪問看護に興味はあるけど、「一人で訪問するのが不安」とか「自分に向いているのかな」と感じている方は多いんじゃないかと思うんです。私も最初はそうでした。
でも実際には、一人で現場に出ていても、後ろにはチームがあります。わからないことがあれば相談できるスタッフがいますし、多職種のネットワークもある。「一人で全部やらないといけない」ということは、全然なかったんです。むしろ、訪問に出てからの方がチームの存在をより感じるようになりました。困った時に頼れる人がいるというのは、病院で働いていた時と変わらないし、ある意味ではもっとつながりが広がった感覚があります。
それから、病院や外来でのキャリアは、訪問看護でも絶対に活きます。私が外来での段取り力をそのまま持ち込んだように、それぞれのバックグラウンドが現場での強みになります。「遠回りをしてきた」なんて思わなくていいです。その経験があるからこそできる看護が、必ずあると思っています。
訪問看護に少しでも興味があるなら、まずは一歩踏み出してみてほしいです。来てみないとわからないことが、きっとたくさんあります。私自身、「たまたま」の出会いから10年続けてきて、今も続けたいと思えているのは、それだけこの仕事に出会えて良かったと感じているからなんだと思っています。




